白秋の些事

戸籍制度・結婚制度・保険制度・年金制度・ジェンダー・格差 …モヤモヤ…を考える

金融教育

2017年に改訂された高校の新しい学習指導要領が、今年度から実施され家庭科で「金融教育」がなされる。
どのような内容か、金融庁発行の「基礎から学べる金融ガイド」と「高校生向け金融教育指導教材のダイジェスト版」を閲覧してみた。

金融ガイドの項目
・家計管理
・生活設計
・預貯金
・株式/債権/投資信託
・生命保険/損害保険
・クレジット/ローン
・その他のサービス
・外部知見の活用
・トラブルに注意

高校向けの「金融経済教育指導教材」の項目
・第1章:家計管理とライフプランニング
・第2章:使う
・第3章:備える
・第4章:貯める・増やす
・第5章:借りる
・第6章:金融トラブル
・第7章:まとめ

第1章:家計管理とライフプランニング
「雇用形態による年収の違い」として、正社員と正社員以外の年収のグラフがあった。
40才から59才では、正社員は正社員以外の年収の2倍以上だ。
現実ではあるが、政策のだめさを堂々とのせるなんて、どういうことだろう。
高校生に、経済格差があるのは当たり前だ「勝つか負けるかだ」とでも教育するのか。

第4章「貯める・増やす」 
銀行預金は超低金利で、お金を銀行に預けても増えることは期待できないので「資産形成」のために「投資」という選択肢がある。
金融商品を活用しながら、自分に合った資産形成を行い、将来に向けて準備しましょう」「投資テクニックを教えるものでも、『投資をしましょう』『投資をしなければいけません』などと伝えるものではない………。とある。
ゲーム感覚で始める高校生が出そうで心配だ。老婆心。
「投資」のリスクは説明してある、しかし適正のある人ばかりではない。
賃金の低い「正社員以外」の人は、投資能力も低いかもしれない。
そうすると、格差は益々大きくなるかもしれない。

テレビ番組で「老後資金は年金だけでは不足するから、投資しましょう。」と説明するコメンテーターがいた。
怖くて、リスクのある投資に私の老後は掛けられない。
不安をあおられる感じがする。

金融教育は大切だと思う。
高校は義務教育ではない、収入や家庭の事情で高校に通わない子どももいる。
そのような子どもにも、社会に出る前に是非「金融教育」をしていただきたい。

ただ、「金融教育」の前に社会の仕組みを学ぶことの方が大切だとも思う。
将来困らないように「金融教育」は大切だが、今困っていることを解決するための社会の仕組みを教えてほしい。
世の中の仕組みを知ることで、自分を守り健やかに生きる方法を教育として教えてほしい。
何よりも、社会を身近に感じ、政治に興味を持ち、18才から投票に行くには「政治教育」が必要。